患者さま状態レポート。AAさま(ALS・筋萎縮性側索硬化症)

患者さまの様子

もう4年近く昔の話

施設に訪問していたPT業者が撤退するので紹介して頂いたご縁でAAさんに出会いました。

AAさんは難病のALS。開始当初の年齢は60前。誕生日の1ヶ月前からスタートですぐに還暦だったのを覚えています。

全身状態はほぼ麻痺

わずかに動かせますが日常動作はかなり難しい段階でした。

身の回りのことは本人が工夫されており、右手には滑り止めの包帯を巻き(マウス操作)

目の前にはタブレット

左にはデスクトップ

日々Yahooニュースを見ているかテレビ番組をパソコンに録画しており

容量の大きなハードディスクが6つか8つ常に稼働

タブレット用のマウスとパソコン用のマウスを使い分け(二台ある)

友達や家族との連絡はLINEを使い

というところだけ聞くと我々と変わらないと感じてしまいますが、実際は少し麻痺が進行してきて首を上げるのも難しくなってきました。

そんなAAさん、とても気難しく

開始当初は色々と問題がありました

悪くいうと人のミスにうるさい人で

今思えば、健常で不自由なく動ける我々が他愛もないことで失敗やミスをすることが腹立たしかったのか

もしくは

プロならしっかり仕事を遂行できる、しなくてはいけない

という価値観なのか

ただ単に他人に厳しいだけなのか

正解はわかりませんが

一部もしくはある程度全部が正解なような気がします。

障害者扱いされると反発し

健常者扱いで 「○○ぐらいできるでしょ?」と問うと、簡単なことでも出来ないと主張する。

本当に難しい人でした、当たり前のことかもしれませんがそんな矛盾を抱えているように映りました。

そんな人でした。

担当になったものの正直難しく

机を動かし、車椅子からベットに移乗し、施術して、またベットに

そこから机を戻すのですがその角度が難しく

車椅子の位置が一定ではないので毎回フィッティングが大変です。

本人には基準があるのですが、こちらからすると基準はブレブレです。(車椅子の位置で変わってくる)

その上、私がベッドの高さを変えていないのに調整をお願いされたり

他にもその時にお願いしたいことを色々頼まれました。

大して時間がかかることではないのですが

発声がハッキリしないので聞き取るのが大変でした。

一度聞き返すと怒って唸るような発声しかしてくれず「何言ってるかわかりません!!」と強く言って喧嘩したこともあります。

その時はタブレットで言葉を入力してもらい説教されました。

こちらも怒りが立ったのですが

その機械の声(入力した文字をタブレットが喋ってくれる)の語尾が

 「ホント頼むわ!」って関西弁だったことがおかしく

私の熱も冷め冷静になれたのはよく覚えています。

そんなことの繰り返しでだんだん短い単語ならなんとなくわかるようになってきました。

ある時は

施設内で水虫のような皮膚の病気が流行った時に

私にその場(部屋の水洗)で手洗いをするように指示をしました、あと持参している手ぬぐいも使ってくれるな・・と

その時は

 「開始時に手を洗います、けど、終わってからも洗いますよ♪」と喉元まで出かかった言葉を飲み込みました。

私が担当している患者様を汚く言われたような気がして腹が立ったのは本音ですがわざわざ挑発することもないと思い黙っていました。

そんな冷たいところというか合理的な面も持ち合わせた人でした。

その手洗いはそれからずっと続いています。

こちらが急いでいる時に限って何か用事があったり、その用事を聞き取るのも時間がかかるし、施術や移乗と手洗いも含めると他の患者様より時間もかかるし、何より常に不機嫌だし。

毎回そんな感じなので、部屋に入る前に深呼吸して気持ちを作って襟を正す気持ちで入室していました。

常に真剣

そんなこんなで4年近く経っていました。

そして別れの際の出来事ですが

私は会社を退職することが決まり、その引き継ぎのスケジュールが固まってきました。

AAさんに担当が変わること

訪問する曜日が変わること

しっかり引き継ぎはさせてもらいますと施術の最中に伝えました。

今日は他の引き継ぎや待ち合わせがあるのであまり時間が取れないことを伝え

不明点や聞きたいことは今度の金曜日にまとめてお話しましょう。

と伝えている最中でした

AAさんは震えていました

ホントに予想していなかったことです

震えて泣いてくれました

普段は不機嫌そうにしてたまに笑うくらいで冷めた人だと思っていましたが内面は熱い人でした

このことに私は動揺するしかなく

言葉もなかったのですが

私は離れることに対しての涙に感動したし、申し訳なさもあるし泣かせてしまったバツの悪さもあるし色々でした。

今度訪問した時は冷静に話ができると思いますが改めて人を見る目が無かったと反省しています。

AAさんは男性です

男泣きです。初体験です、私のために泣いてくれる人は今まで居ませんでした。

引き継ぎは施術の内容も多く、次の担当が本当に出来ているかのチェックもありましたので他の人の3倍時間をかけました。(他の方と対応に差がついてしまうのであまりよろしくないのですが)

最終日は引き継ぎ終了後、少しお話をさせてもらいました。

こちらからも多くの感謝を伝え、今までのこと。これからのこと。普段しない話をいっぱいしました。

最後に写真まで撮らせて頂き、送り出してもらいました。

今まで色々な患者様と接してきましたが

普段取っ付きにくく、憎まれ口を言い、人から距離を置かれるような人ほど仲良くなった時の情は厚いと学びました。

また感謝されるような仕事、関係を築こうと改めて考えました。

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