患者さま状態レポート。SMさま(多系統萎縮症)

患者さまの様子

HAさんのケースと同じく、「多系統萎縮症」の患者さま。SM様。

HAさんとの違いは症状が進行しており、四肢の拘縮もかなり強く出ている状態。

ボトックス注射は使用せず、拘縮の予防をマッサージに一任してくれました。

責任重大です。

寝たきりの方は皮膚の状態が悪い場合が多いです。

血行が悪いことで全身状態が悪いことに加え、身動きが取れないために異物が皮膚に当たっていても排除ができず、発赤や悪くすると褥瘡になってしまいます。

SM様は下半身によく発赤や傷がありました。

移譲の際にベッド柵に当たったり。

車椅子にぶつけてしまったり理由は色々ありました。

キーパーソンは奥さん

色々な患者様を訪問していますが、常にかなり緊張していました。理由は奥さん。

ご主人の状態を管理しており、全ての基準がとても高く、厳しい方でした。

ベッド周りの備品やタオル類。

呼吸器やバルーンの管の固定位置。

色々な物の場所(位置)とその角度までがすべてキッチリ決まっていました。

理由があってその位置・その角度で置いてあるので適当に置いたらダメでした。

「用を足せば大丈夫」と思っていたらダメ。動かしても元の位置に戻せなければ「出来ない奴」認定です。

もちろん鬼ではないので、素直に聞き実行すれば問題はありません。

しかし、失敗できないので毎回緊張して臨んでいました。

主体はご主人

当然のことかもしれませんが忘れてしまっていることもあります。

体位を変える時に「変えていいですか??」「これでいいですか??」と確認するのですが、口が聞けない方が相手だとご家族やヘルパーさんに確認することが癖になっていました。

私「奥さん、今日は座位から始めましょうか?寝たままで始めましょうか??どうしましょう??」

奥さん「主人に聞いてください。」

えっ!

喋れませんよ!?

でも大丈夫。

ご主人は話せませんでしたが、まばたきで合図することが出来ました。

まばたきしてくれたらイエス。

無しならノー。

変化があるとき、何かする時はいつもご主人に確認が必要です。

口が効けない方を相手にした時、口が聞ける人に確認しがちですが

本人のことは本人に聞くのが筋です。

こんな当たり前のことなのに、こちらの都合で勝手に判断すると大事なことを忘れてしまいます。

誰に向けてマッサージしているのか。誰を満足させないといけないのか。

もちろん周りの家族やケアマネージャーの理解が無いと継続できません。

しかし実際に施術を受けている本人の意思を尊重することが何より大事です。

信頼は積み重ね

施術に入らせて頂きましたが、1年ほどはあまり信頼されていないような印象でした。

というのも私が入る曜日は週に1回だけで他の曜日は先輩方が数日ずつ施術に入っていました。

奥様からすれば、週1回だけの先生にわざわざ連絡しなくても訪問頻度の高い先生に相談や報告をすれば問題なかったのです。

ある日、ご主人が腎臓をオペすることになったのですが、理由はガンでした。

早期発見で命の心配は無い様子でした。が全摘出しないといけなく、オペの日を指折り数えている時でした。

奥さん「今度オペすることになって少しお休みするのでよろしくお願いします。」

私「そうなんですね、何とか無事に戻って来てくださいね」(背中をさすりながら)

奥さん「腎臓なんですけどね、どちらが悪いかわかりますか??」

私「触った感触だと、右の背中がとても気になります。右側(の腎臓)じゃないですか??」

奥さん「ウンウン」と頷き満足そうに用事に離れました。

厄介なことに腎臓は左右両方にあります。思うにあれはテストだったと思います。

その二択を間違わなかったことでそこから少し空気が変わっていきました。

オペの直前。奥さんから相談を受けました。

手術の時、右腕上に挙げた状態で脇や背中を執刀するのですが、拘縮で腕が硬いのでオペ前にできるほぐし方・対処法は無いですか?という質問でした。

正解というにはお粗末ですが、誰でもできる簡単なほぐし方をレクチャーしました。

結果、オペの時に大変助かったらしく、奥さんとの距離を縮めることが出来ました。

それからは少し頼られるような空気になりました。

そこからは大きな病気も無く、体調も安定しています。

娘様のいる横浜に旅行

ご主人は病気になり状態が悪くなってから、家から出かけることがほぼありませんでした。

散歩や外出。

息子様の結婚式で外出しましたが3時間が限界でした。それ以上はとても疲れてしまうという判断でした。

そんな状態の中どういった話し合いがあったのか、娘さまの居る横浜に一泊の旅行に行くことになりました。

活動3時間の話を聞いていたのでかなり心配でしたが奥さんは前向きに計画を練っていました。

とりあえず

呼吸器の電池が切れなければ命は何とかなりそう。

宿泊はホテルでリフト付きの介護ベットを準備してくれる。

考えられる問題の対策はできていましたが他の障害や問題はやってみなけれわかりませんでした。

とはいえ、私がついて行くわけでも無いので、ことの顛末を見守っていました。

私は無事に帰ってきてくれることを祈ることのみ。

仕事は特にありません。

ところが

奥さん「このアンケートを記入して欲しいんです♪」

と1枚の紙。

内容は、『ご主人の身体の具合や注意点に関して。』でした。

横浜にいる娘さまは〝ご主人〟の具合がわからないし、介護の大変さも言葉で知っているだけでした。

そこで〝アンケート〟をとることで父親の日常や注意点を把握しようとしたのです。

さすがあの奥さんの娘。

少し時間を頂いて、私が普段気になることや注意している事柄を記入しました。

それから数日。

新幹線に忘れ物をしたぐらいのトラブルで無事に帰って来ました。

皆さまとても疲れたと思います。

私は土産話を楽しみにしていました。が予想いない反応が返ってきました。

先日私が書いたアンケートの内容がしっかりしており私の普段の取り組み方や姿勢が気になり娘さまから電話があるというのです。

(なにそれ、緊張しかしませんwww)

結局は私の訪問中に電話はありませんでした、が自分の取り組みが評価されるのはとてもありがたいことと感じました。

ただ緊張しない現場で適当にこなしていたら受けれない評価だと思いますので初心や相手の為の行動を常に考えて行動しないといけないと感じます。

ご旅行の前後ぐらいから私の訪問回数も増えた(1回から2回)ことやレセプトの担当になったことで接触回数が増えました。この頃には信頼してもらえている印象が強くありました。

担当を離れ、お別れの時。写真をお願いすると快く了承してくださったこととても感謝しています。

奥さんの「また近所に来た時はいつでも顔を見せて下さい。」との言葉が温かかったです。

今後なかなか会うことは難しいですが年賀状のやり取りは続けていこうと思います。

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