NKさまの様子
色々な出会い・依頼の中にはとても難しい案件があります。
例えば、継続が難しくなかなか続かない例は
○体調が悪く余命が短い場合(終末期など)
○認知症の症状が重く、そもそもマッサージが必要とされているか難しい場合(拒否がある場合もあります)
○家族との仲が悪く施術の理解や必要性が認められない場合
など多種多様です。
そういった中で男性に多いのが『サービスやリハビリを勧めても拒否するケース』です。
NKさまも拒否がある患者さまで
開始当初は継続できるか不安でした。
無料体験の時もあまり話さず
スタートした当初も返事をしてくれないことが多くありました。
そのまま多くを語らず
黙々と施術をして
時間が経ったから帰る。
という内容でも身体の調子だけを考えれば向上していくかもしれません。
しかし、それは〝負け〟なような
〝ダメ〟なような気がして
その選択は取らないように努力しました。
全てに当てはまるかはわかりませんが、正面から向き合って初めて見えることがあります。
私の幸運は、NKさんは〝拒否をする患者〟ではないことでした。
NKさんは家族にネグレクトを受けたことや数度の詐欺被害で心を閉ざしていました。
おそらく他人が怖くなったのだと思います。
加えて、そりが合わない他の利用者と喧嘩をし施設内で孤立していました。
老後の集団生活の難しさが垣間見えるのですが、デイサービスや施設に馴染めない男性は多いような気がします。
コミュニケーション
初めはとにかく話しました。
全身をマッサージしながら、興味があるかないかわからない話題でもとにかく聞いたり話たりしました。
〝うるさい〟と思われない程度に、しかしグイグイ中に入っていきました。
私「もうすぐ高校野球が始まりますね」
NK「‥‥‥」
私「プロ野球も順調に進んでいるようですよ」
NK「‥‥‥」
私「贔屓な球団はあるんですか??」
NK「‥‥知らん」
知らんか‥‥そうか‥‥‥。
2~3週間後
私「今、巨人とヤクルトが優勝争いして、決まりそうです」
NK「‥‥‥」
私「クライマックスがあるので、日本一になるはわからないですけどね~」
NK「‥‥‥」
私「で、好きな球団とかあるんですか??」
NK「‥‥巨人が好きやねん」
おっ!?
少しですが以前と違ってきました。
およそ1ヶ月ほどで少しずつ会話できるように。
どうやら心を許せてもらえた様子です。
身体の調子も良くなります
次はお身体の調子です。
立位や座位は本人が頑張って頂かないとどうしようもない面があります。
言い換えると本人のやる気がないとなかなか維持も強化も難しい。
とはいえ強要もできないので成果としては不安がありました。
私は『開いた心が閉じる』のが嫌で積極的に運動や訓練をしませんでした。
そのかわり
毎回少しだけお願いをしました。
「腕を動かすと血の循環が良くなるから少しでいいから気がついた時にやっててね」
「布団の中でいいから足を動かしてもらったらそれだけで運動になるから気がついた時にやっててね」
とアドバイスをしましたが実施の確認をすることはしませんでした。
ただやってくれたら助かる。
少しでもやってくれたらそれだけで変わる。
リハビリは進む。
という考えで帰り際にその〝小さなお願い〟を繰り返しました。
すると2・3ヶ月すると様子が変わってきました。
施設ヘルパー「NKさんが自発的にベッドから車椅子に移乗してくれるようになって、自分でしっかり立ってくれるようになったんです。」
「最近落ち着いてきて他の入居者に文句を言わなくなりました。」(そんな迷惑かけてたんか😓)
「トイレの時もしっかり立ってくれて助かってます♫」
と嬉しい変化が。
元々、能力・体力的にできたこともありますが
気分や心の持ちようで人の動きや生活が変わることを実感できた良い経験でした。
もちろんNKさんのような変化が皆にあるとは思いません
ネグレクトや度重なる詐欺被害で閉ざされたのNKさんの権利を掘り出し、それを大事に扱っただけです。
健康かどうか幸せかどうかの線引きは難しいですが
NKさんには残りの余生を満たされたものにして欲しいと願っています。
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